Googleアドセンスブログは、2023年11月2日に次の2つの変更を行うと発表しました。
- 1)収益分配構造の更新
- 2)クリック収益からインプレッション収益への変更
この変更により、サイト運営者(パブリッシャー)にはどのような影響があるのか、また収益は減少するのか増加するのかについて解説します。
Contents
1)収益分配構造の更新
アドセンスによると、今まで1回のトランザクションで処理していた料金を、「買い手と売り手」のレートに分けるとしています。
手数料と収益が明確になる
ここで言う「買い手」はアドネットワーク(Googleアドセンスやサードパティ―など)のことで、「売り手」はサイト運営者(パブリッシャー)のことです。
例えば、広告主がGoogle広告で1ドルの広告を出稿した場合、手数料とサイト運営者の取り分は次のようになります。
- ①広告主の広告費:1ドル
- ②Google広告の手数料:15%(15セント)
- ③Googleアドセンスの手数料:②の残金から20%(17セント)
- ④サイト運営者の取り分:残金(68セント)
Google広告は15%(15セント)の手数料を徴収し、残り85セントがGoogleアドセンスに流れます。
85セントのうち、Googleアドセンスが手数料として20%(17セント)を受け取り、残りの80%(68セント)がサイト運営者の取り分となります。
なお、サイト運営者の取り分は、変更前も変更後も同じようです。
収益分配率の確認方法
アカウントの収益分配率は、Googleアドセンスで確認できます。
Googleアドセンスにログイン後、「アカウント」>「設定」>「アカウント情報」をクリックします。
「アカウント情報」で「有効なプロダクト」の横に「収益分配率」が表示されています。
2)クリック収益からインプレッション収益への変更
もう一つの変更は、Googleアドセンスの収益モデルが「クリック収益からインプレッション収益」に変わることです。
クリック収益とは?
「クリック収益」は、ユーザーが広告をクリックするとサイト運営者(パブリッシャー)に収益が発生するモデルです。
インプレッション収益とは?
「インプレッション収益(RPM/Revenue Per Mille)」は、広告がユーザーの画面に表示されると、サイト運営者(パブリッシャー)に収益が発生するモデルです。
インプレッション収益は、表示回数1,000回あたりの見積もり収益額を表しており、以下の計算式で表せます。
例えば、以下のような場合を考えてみます。
- 見積もり収益額:100円
- 広告表示回数:500回
インプレッション収益は(100円 / 500回)× 1,000 = 200円となります。
インプレッション収益の確認方法
「インプレッション収益」は、Googleアドセンスの左メニューの「レポート」から確認できます。
インプレッション収益による「収益」計算方法
ユーザーに広告が表示された回数が分かれば、以下の方法で「収益」を計算できます。
「ユーザーに広告が表示された」の定義
「ユーザーの画面に広告が表示された」という定義は、アドネットワークによって異なりますが、ネット広告業界団体(IAB/Interactive Advertising Bureau)の基準では次のようになっています。
- 【ディスプレイ広告】広告の面積(ピクセル)の50%以上が1秒以上表示された場合
- 【ビデオ広告】面積の50%以上が2秒以上閲覧可能な状態で表示された場合
「ビューアブルインプレッション」とも言わます。
ページのインプレッション収益とは?
今回の変更とは直接関係ないかもしれませんが、「ページのインプレッション収益(PRPM/Page Revenue Per Mille)」というものがあるので説明しておきます。
インプレッション収益と似ていますが、異なる概念を持っています。
ページのインプレッション収益は、一つのページに複数の広告がある場合、そのページにある全広告の表示回数に基づいて収益を計算するモデルです。
計算式は次のようになっています。
例えば、
- 見積もり収益額:150円
- 広告表示回数:500回
インプレッション収益は(150円 / 500回)× 1,000 = 300円となります。
参考:ページのインプレッション収益(Googleアドセンスヘルプ)
ページのインプレッション収益の確認方法
「ページのインプレッション収益」も、Googleアドセンスの左メニューの「レポート」から確認できます。
インプレッション収益への変更による影響
クリック収益からインプレッション収益への変更により、サイト運営者はどのような影響があるのかについて解説します。
インプレッション収益になると収益は下がるのか?
アドセンスブログでは、今回の変更による収益への影響はないとしています。
Based on our tests, we don’t expect publishers to see a change in their earnings as a result of these updates.
私たちのテストによると、これらのアップデートの結果としてパブリッシャーの収益に変化が生じるとは予想していません。
「収益分配構造の更新」を見れば分かる通り、クリックで獲得できていた収益が、インプレッションに切り替わるだけなので、サイト運営者にはほとんど影響がないと考えられます。
ただし、広告主にとってはデメリットが発生します。
今までは「クリック」でランディングページまで来てもらえましたが、「インプレッション」では表示だけなので、ランディングページまで来てもらえません。そのうえ、表示だけで広告費が発生します。
そうなると「同じ単価で広告を出稿するかどうか迷う」かもしれません。もし、広告主が広告単価を下げればサイト運営者の収益は下がります。
この辺りは、実際に変更された後でしか分かりません。
収益最適化の戦略
基本的な収益最適化の戦略は現行と同じです。
1)高品質なコンテンツの作成
質の高いコンテンツを作成して、ユーザーの関心を引き、ページを読み進めてもらうことができれば、インプレッション収益もあがると考えられます。
2)SNSの利用
SNSを活用してコンテンツを拡散すれば、より多くのインプレッションを獲得できます。
「高品質なコンテンツの作成」は必須ですが、SNSのエンゲージメントやブランド認知度の向上にも役立ちます。
3)広告の配置
記事上部に広告を配置したり、記事の中に適切な間隔で広告を挿入したりすることで、自然に広告を見てもらえる機会が増えます。
ただし、やりすぎは「不正」と判断される可能性があるので注意が必要です。
よくある質問(FAQ)
CPCからCPMにいつから変わる?
2024年2月からCPMに変わっています。
Googleアドセンスの左メニュー「レポート」を開いて、レポートにある「入札単価タイプ」を確認すると、2024年2月からほとんどの広告がCPMに変わっています。
広告をたくさん貼れば収益は増えるのか
アドセンスブログには、以下の記述があります。
It’s important to note that this change will not influence the type or quantity of ads publishers can display on their websites. Publishers in our ad network are required to adhere to both our AdSense policies and the Better Ads Standards which do not allow practices like pop-ups or interruptive ads that take up the majority of the screen.
この変更は、サイト運営者がウェブサイトに表示できる広告の種類や量には影響しないことに注意してください。Googleの広告ネットワークのサイト運営者は、AdSenseポリシーと、画面の大部分を占めるポップアップや中断広告などの行為を許可しないBetter Ads Standardsの両方を遵守する必要があります。
つまり、「インプレッション収益へ変更になっても、ジャンルが制限されたり、広告表示数に上限ができたりするわけではない」という意味だと思います。
そのため、ジャンル選びや広告数を増やすことによって収益が増える可能性はあります。ただし、それに続く文に「アドセンスポリシーの遵守」とあるため、不正判定されないように注意が必要です。
変更に合わせてユーザーがやらないといけないこと
今回の変更で、サイト運営者が必要な作業はありません。
この他、以下のURLも参考になります。
まとめ:Googleアドセンスの収益モデル変更
以上、Googleアドセンスの収益モデル変更点について解説しました。
変更は2024年初頭に行われる予定です。
重要な点は次のとおり。
- 【収益分配構造の明確化】広告主、Google広告、Googleアドセンス、サイト運営者間の収益分配がより透明に
- 【インプレッション収益への移行】ユーザーが広告をクリックする代わりに、表示されるだけで収益が発生
- 【収益影響の予測】Googleによると、この変更でサイト運営者の収益に大きな変化はない見込み
収益最適化のためには、高品質なコンテンツの作成、SNSを活用したコンテンツ拡散、広告の適切な配置が考えられます。